「外資系企業で一番大変なのは英語を話すことですか?」
よく聞かれる質問です。
しかし20年以上外資系企業で働いてきた私の答えは違います。
本当に難しいのは『聞くこと』です。
むしろ自分の考えを伝えることは、それほど難しくありません。
今回は、英語が苦手だった私が外資系企業で実際に苦労したこと、そしてどうやって乗り越えてきたかについてお話しします。
実は「話す」ことはそれほど難しくない
意外に思われるかもしれません。
私は英語が得意ではありません。
外資系企業に入社した時のTOEICスコアは380点でした。
それでも仕事は何とかできました。
なぜかというと、
自分が言いたいことは最初から分かっているからです。
頭の中では日本語で考えています。
その内容を知っている単語と簡単な文法で組み立てれば、意外と伝わります。
例えば、
「この製品に問題があります」
「お客様からこういう要望があります」
「私はこう考えます」
程度であれば、難しい英語は必要ありません。
自分の考えや背景を理解しているので、言い換えることもできます。
本当に難しいのは相手の話を理解すること
一方で、聞き取りは全く違います。
相手が何を言うか分かりません。
しかも相手の頭の中は見えません。
自分の話なら予測できます。
しかし相手の話は予測できません。
そのため、
- 真意が分からない
- 背景が分からない
- 話の流れが見えない
ということが起こります。
これが聞き取りの難しさです。
ネイティブほど難しい
さらに厄介なのは、
英語が上手な人ほど聞き取りが難しくなることです。
ネイティブスピーカーは、
- 学校で習わない単語
- スラング
- 略語
- 独特の言い回し
を自然に使います。
しかも発音が速い。
その結果、
聞き取ったつもりが全く違う意味だった。
そんなことも珍しくありません。
私自身、
「そんな会社の話をしていたの?」
と思ったら、実際には全く別の単語だったという経験があります。
上司が外国人だとさらに大変
これが外国人上司との会話になると深刻です。
聞き間違い。
思い込み。
理解不足。
こうしたことが積み重なると、
コミュニケーションのズレが生まれます。
場合によっては、
仕事の評価にも影響します。
極端な話をすると、
在籍そのものが危うくなる可能性すらあります。
だから私は、
分からない時は正直に聞くようにしています。
分かったふりが一番危険
若い頃は、
「何度も聞き返したら失礼かな」
と思っていました。
しかし今は違います。
分からない時は、
素直に言います。
例えば、
“Could you say that again?”
(もう一度お願いできますか?)
“Could you send me an email?”
(メールで送ってもらえますか?)
こうした確認を遠慮しません。
その方が結果的に仕事がスムーズに進みます。
私が感じる英語の難易度
20年以上仕事で英語を使ってきて感じるのは、
英語の難しさは次の順番です。
比較的やさしい
① 文章を読む
マニュアル
メール
資料
これは時間をかければ理解できます。
翻訳ツールも活用できます。
次に難しい
② 文章を書く
メール作成
報告書
チャット
これも辞書やAIを使えば何とかなります。
さらに難しい
③ 自分の意見を話す
瞬発力が必要になります。
それでも自分が言いたいことは分かっているので何とか伝えられます。
最も難しい
④ 相手の意見を理解する
これが圧倒的に難しい。
何を言うか分からない。
予想できない。
背景も見えない。
だから一番苦労します。
聞き取れるようになる方法
では、どうすれば聞き取れるようになるのでしょうか。
残念ながら近道はありません。
数をこなすしかありません。
私も魔法のような方法は知りません。
ただ効果を感じた方法はあります。
映画やドラマを見る
おすすめは、
英語音声+日本語字幕
です。
音と意味を同時に理解する練習になります。
オンライン英会話で雑談する
仕事の英語より、
雑談の方が難しいこともあります。
そのため、
ネイティブ講師との雑談は良い練習になります。
英語を聞く習慣を作る
通勤中でも構いません。
毎日少しでも英語を聞く時間を作ることが大切です。
TOEICの点数とは別の能力
ここで注意したいのは、
これらの練習が必ずしもTOEICの点数アップに直結するわけではないことです。
TOEICは試験です。
一方、
実際のビジネス英語はコミュニケーションです。
求められる能力が少し違います。
私の結論
外資系企業で英語が苦手な場合、
本当に困るのは話すことではありません。
聞くことです。
そして分からない時は、
恥ずかしがらずに正直に伝えることです。
私自身、今でも聞き返します。
メールで確認することもあります。
それでも20年以上やってこられました。
英語は一夜にして上達しません。
しかし毎日少しずつ触れていれば、確実に慣れてきます。
もし今、英語に苦手意識があるなら、
完璧を目指さなくて大丈夫です。
まずは聞く習慣を作ること。
そして分からない時は正直に聞くこと。
それが外資系企業で生き残るための、一番現実的な英語学習法だと思っています。



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